『最近のマシンはピボットを採用しているマシンが多いけど、理由って何?』
この疑問を解決すべく、ピボットのメリットとデメリットを解説します。
今後のマシン作りに役立ててもらえれば幸いです。
では、まいります。
目次
ピボットのメリット
ピボットには、2つのメリットがあります。
- コースの段差から受ける衝撃を逃がせる。
- ゴムの巻き数でピボットの硬さを調整できる。
それぞれ、詳しく解説します。
【メリット①】コースの段差から受ける衝撃を逃がせる。
ピボットの一番のメリットは、コースの段差などから受ける衝撃を逃せること。
タミヤ公式大会の5レーンコースは、コースの継ぎ目に多少の段差があります。
これは、公式大会のコースの仕様です。
コース壁に段差があるので、マシンはセクションを通過する毎に衝撃を受けてしまいます。
そこで、ピボットの効果が発揮されます。
マシンが前方から受ける衝撃に対して、ピボットが後方に可動することで、衝撃を逃しています。
これが、ピボットの最大のメリットです。
記憶に新しいのは、2018年のジャパンカップです。
ロッキングストレートが登場し、大多数のマシンがピボットを採用していました。
ロッキングストレートのように、マシンが前方から衝撃を受けるときに、特に真価を発揮するのがピボットです。
【メリット②】ゴムでピボットの硬さを調整できる。
ピボットの2つ目のメリットは、ゴムで硬さを調整できること。
先に紹介したロッキングストレートのような、コースに対して段差が最大15mmもあるようなコースでは、ゴムの巻き数を減らすことでピボットを可動しやすくできます。
逆に、3レーンコースのように、コースの継ぎ目に段差がないコースの場合、ゴムの巻き数を増やすことでピボットが全然可動しないリジットに近い硬さに仕上げることもできます。
ピボットを柔らかくしてコーナーでもピボットが可動するようにしてしまうと、マシンは常にコースの外側を走るようになります。
すると、走行距離が増えるので結果としてタイムが遅くなります。
3レーンコースでは、あえてピボットを硬く調整しているマシンが多いのが、このような理由があるからです。
このように、ゴムの巻き数によってピボットの硬さを調整できるのが、ピボットのメリットです。
ピボットのデメリット
ピボットのデメリットは以下のとおり。
その理由を解説します。
【デメリット①】デジタルコーナーに弱い。
ピボットは、スラダンに比べてデジタルコーナーの抜けが悪いと言われています。
その理由は、デジタルコーナーでピボットが可動したときに、衝撃を受け続けてしまうことが挙げられます。
デジタルコーナーの進入時にピボットが可動すると、ピボットが可動したままコースを走るようになります。
スラダンのようにデジタルコーナーの壁に合わせてピボットが戻れば衝撃を逃がせるのですが、ピボットの構造上、コース壁に合わせて戻ることが困難です。
なので、デジタルコーナーの2つ目の以降のコース壁にぶつかるときはデジタルが効いたままとなり、いわゆるリジットに近い状態でコーナーを抜けることになります。
これでは、マシンが衝撃を逃すことができないので、デジタルコーナーで減速してしまうのです。
【デメリット②】富士通ポップなどのコーナー進入に弱い。
2つ目のデメリットは、富士通ポップなどのコーナー進入に弱いということ。
ジャパンカップなどに多く採用される富士通ポップは、スロープのあとに1枚ストレートを挟んで90度コーナーに進入するようなセクションです。
このとき、マシンはスロープから飛び出してコーナーに直接進入します。
速度が速ければ速いほどマシンの飛距離が伸びるので、コーナーの壁に直接ローラーが当たるように進入します。
そのとき、ピボットはコーナー壁からの衝撃を受けるのですが、スラダンのように横に衝撃を逃すのではなく、後ろに衝撃を逃します。
すると、コーナーに向かって前に働く力が緩和されないので、コースアウトする確率が上がってしまいます。
富士通ポップなどでは、コーナーの壁から受けた衝撃を横に逃しながら可動するスラダンに軍配が上がります。
この場合は、提灯連動式のピボットなどを採用して、スラストでマシンのコースアウトを防ぐ方法がおすすめです。
ピボットのおすすめセッティング。
最後に、ピボットのおすすめセッティングを紹介します。
ロッキングストレートやデジタルコーナーなどのセクションが無いことを前提に考えれば、ピボットは硬めにセッティングするほうがタイムは良くなります。
特に、5レーンではピボットの効果が最大限に発揮されます。
前述したように、タミヤ公式大会の5レーンコースでは、コースの継ぎ目の段差が鬼門となります。
ピボットを少し硬く調整することで、コース壁の段差はスルーしながらも、スラダンのようにコーナーでの無駄な可動を無くすことができるのです。
さらに、3レーンでは、もっと硬めに調整すると良い結果が得られます。
3レーンは段差がないので、リジットのようにピボットを硬くすることで無駄な可動を無くなり、タイムが向上します。
このことから、3レーンマシンではピボットを硬くすることがタイムを縮めるポイントです。
まとめ
ピボットは、上手く調整すればコーナーでもリジットマシンに近い状態を維持できるので、タイムが良くなる傾向にあります。
さらに、2019年のジャパンカップコースのように、デジタルゾーンで速度を落としたいときには、あえてピボットを採用するのも一つの手です。
ピボットのデメリットを使ってデジタルコーナーで速度を落とすことで、デジタルドラゴンバックでのコースアウトを減らしつつも、その他のセクションはピボットのメリットを活かして高速で駆け抜ける。
こんな走り方もできるので、マシンをどのように走らせたいかを考えてピボットを採用してみましょう。
以上が、『ピボットのメリットとデメリットについて』でした!