ミニ四駆をやっている方ならば、誰もが速いマシンを作りたいと思いますよね。
速いマシンを作るには、まずは基本をしっかり抑えることが大切です。
ただ、今回はマシンを丁寧に作るという当たり前のことではなく、ミニ四駆に使うそれぞれのパーツをどのように選ぶべきか、そして、どのように慣らすべきかという、速いマシンを作るうえで必要なことに焦点を絞って紹介します。
上級者ともなれば、ミニ四駆を作るうえで今回紹介することを考え、実践している場合がほとんどです。
そのやり方は人それぞれあり、正しいやり方が分からないということや、ネットではここまで詳しい方法はあまり出回らないこともあり、ネットで情報収集しているレーサーは、正直行き詰まってしまうところでもあります。レーサーのコミュニティに属していないと手に入らないような情報もあります。
しかし、初心者レーサーから中級、上級レーサーとなるうえで、確実に必要となる考え方であるため、今回はそれらの情報をまとめることにしました。
さらに、これさえ読めば全てが分かるように、モーターや電池、ベアリング、ドライブシャフト、ホイール、タイヤなど、駆動系のあらゆるセッティング方法を全て網羅しています。ミニ四駆の上級セッティングにおけるガイドとして活用して頂ければ幸いです。
特に、以下のような方にはピッタリの内容です。
- せっかくマシンを組んだけど、なかなか速くならない。
- 速いマシンの作り方が分からない。
- 上級レーサーがどのようにセッティングしているのかを知りたい。
- レーサーとしてのレベルをもう一段階上げたい。
このような方には、是非とも読んでもらいたい内容です。今回紹介する上級者向けのセッティングの基本を抑えて、速いマシン作りに役立ててみてください。
これを読んで、みんなでレーサーとしてのレベルを上げましょう!
目次
速いマシンの定義とは
あなたは、速いマシンと聞いて何を思い浮かべますか?
- 最高速度が速いマシン。
- レースで勝てるマシン。
人それぞれ、速いマシンの定義は違うでしょう。
ただ、定義は違えど、速いマシンと遅いマシンは作り込み方の時点で差が出ます。どういうことか、詳しく説明します。
例えば、大会で上位に食い込む常連者と初心者の方がいるとします。その2人が、モーターや電池、ローラー、ベアリングも全て同じグレードアップパーツを使って、見た目は同じマシンを作るとします。
それでも、マシンの速さには差が出ます。大会で上位に食い込むレーサーが作ったマシンの方が確実に速いでしょう。
その違いがどこにあるか分かりますか?それは、マシンの作り込み方の違いです。作り込み方の違いとは、パーツの性能を最大限に引き出しているかということです。
作り込みの違いこそが、初心者と経験者を分けるラインなのです。
パーツを単に取り付けただけで勝てるほど、ミニ四駆は甘くありません。使うパーツの性能を最大限に引き出すことが必要です。
性能の引き出し方は、基本的にはパーツの慣らしになります。ミニ四駆をやっている方ならば、モーターのブレークインはご存知でしょう。
モーターは、慣らし運転をすることで、性能を引き出せます。ただ、実は慣らしをすることはモーターに限ったことではありません。そのほかのパーツについても、慣らしやメンテナンスをすることで、パーツの性能を最大限に引き出すことができるのです。
ベアリングローラー1つにしても、慣らしをしているか否かで、コーナーの速度は驚くほど変わります。
このように、速いマシンを作るうえで、使うパーツの性能を引き出すことが最低限必要になります。むしろ、これをやらなければどれだけ頑張っても速いマシンは作れないと言えます。そのために必要なことを、各パーツ別にまとめています。
次項より、パーツの選び方とパーツごとの性能の引き出し方を紹介します。
モーターについての基礎知識と選び方
モーターは、ミニ四駆の心臓部です。どれだけ速いマシンを作ろうとしても、速いモーターがなければ絶対的な最高速度は上がりません。
初めに、モーターの選び方ですが、モーター選びのポイントは、コースレイアウトに合った性能のものを選ぶことです。
コースレイアウトに合った性能とは、ストレートが多いスピードコースなのか、コーナーが多いテクニカルコースなのか、またはアップダウンの多い立体コースなのかということです。走らせるコースによって選ぶモーターは変わります。
ただ、コースレイアウトに応じてモーターを選ぶことは、最初はとても難しいことです。なぜなら、コースレイアウトを完全に把握しておく必要があるからです。
- ストレートの距離はどのくらいか。
- コーナーの枚数はどのくらいか。
- 最高速まで速度を出せるポイントはどこか。
- 減速するのはどこか。
- 減速してから加速までどれくらいの距離があるか。
突き詰めていけば、このようにセクションを分割して考え、マシンが出せる最高速度を把握したうえで、走らせるコースにおいてはどれだけの最高速度が必要か、ということまで考える必要があります。
これはレーサーとしての経験を積んでいくことでだんだんと分かってきます。ただし、そこにたどり着くまでにはある程度の時間が必要ですので、まずは、初心者でも通用するモーターの選び方を紹介します。
ここでは、どのようなコースレイアウトでも通用するモーターを選びます。数あるモーターの中でも、スピードがあってかつパワーもある、速度と加速のバランスがとても良いハイパーダッシュモーターがおすすめです。
最近のコースは立体コースが主流ですが、ハイパーダッシュモーターは使用率もダントツに高く、どんなコースにも適応可能な万能モーターです。
まずは、ハイパーダッシュモーターを選んでセッティングすれば、どんなレイアウトにも対応できるでしょう。
速いモーターを作るための慣らし方
買ったばかりのモーターは、本来の性能を充分に引き出すことができません。
モーターにはブレークイン(慣らし運転)が必要であることは、前述したとおりです。しかし、モーターの慣らし方は人それぞれ違い、何が正解なのかが分からないことが多いのではないでしょうか?
そこで、速いモーターを手に入れるために大切なことを知っておきましょう。それは、なぜモーターを慣らすことが必要なのかを知るということです。
ここでは、前項でおすすめしたハイパーダッシュモーターを例に話を進めます。
まず、慣らしていないモーターが遅い理由は、モーター内部の構造にあります。
モーターの中にはブラシという、電池からのパワーをモーターの軸に伝えるための部品があります。モーターの慣らしというのは、そのブラシを慣らすことを指します。
買ったばかりのモーターでは、ブラシが削れていないため、モーターの軸に対して接地面が少ないのです。それが、モーターの慣らしをすることでブラシが削れ、モーターの軸に密着するようになります。
すると、モーターの軸とブラシの接地面積が増えて、電池からのパワーを無駄なく伝えられるようになります。
これが、モーターを慣らすことの最大の理由です。
もし、古くなったモーターを持っていたら、一度分解してみてください。モーターの中にあるブラシが削れていると思います。このブラシを削ることが、モーターの慣らしで必要なことでもあり、一番難しいポイントでもあります。
ブラシを削るには、モーターを回すしかありません。しかし、どれくらい削れているのかは、外見からは分かりません。
モーターの慣らし方は、正直言って人それぞれです。慣らし方の例として、3Vの電圧で正転で3分、逆転で3分回す人もいれば、電圧を上げて9Vで慣らす人もいます。
このやり方については、経験がものを言います。どれだけモーターを慣らしてきたかが、そのまま経験値となります。
しかし、闇雲にモーターを慣らしていても、それはただモーターを無駄にしてしまうだけです。そこで必要なのは、毎回同じ環境でモーターを慣らすということです。
まずは、電池を使って慣らす方法を例にしてみます。
電池は、使えば使うほどパワーが減ります。電池を使って慣らしていても毎回電圧が変化してしまい、モーターにかかる負担が変わります。すると、安定した慣らしができないため、正直言って運任せの慣らし方になってしまいます。
そこでおすすめなのが、安定化電源を使う慣らし方です。安定化電源とは、一定の電圧をかけられる機械のことです。
安定化電源を使って一定の電圧をかけられれば、毎回ほぼ同じ条件でモーターを慣らすことができます。さらに、安定化電源にはタイマー機能が付いているものもあります。タイマー機能があれば、慣らす時間の管理もできるので、どれだけの時間でモーターを慣らせば良いのかというデータを取ることもできます。
モーターの慣らしには経験が必要と言いましたが、確実な経験を積むために、最小限のコストで最大限のパフォーマンスを得る必要があります。それを考えると、安定化電源は必須のアイテムと言えます。
安定化電源も数多くの種類がありますが、その中でも一番のおすすめはミニブレークインシステムです。
ミニブレークインシステムを使うメリットは以下のとおりです。
- サイズがコンパクト
- 電圧の調整が0.1Vから6.0Vまで、0.1V単位で設定できる
- タイマー設定がある
- アダプターを使えば、家庭用コンセントから使える
- 価格が安い
これだけ便利な機能が詰まっているので、初めてのモーター慣らしにはとてもおすすめできるアイテムです。
まずは、ミニブレークインシステムでモーターの慣らしに挑戦してみてください。これまでの電池を使って慣らす方法とは、慣らしやすさが格段に違います。
電池についての基礎知識と選び方
モーターはミニ四駆の心臓部であると言いましたが、電池についても、同じことが言えます。
ミニ四駆の最高速度は、実際のところ、モーターと電池で決まってしまいます。どれだけ良いパーツを使ったところで、モーターと電池から得られるパワーが少なければ、マシンは遅くなってしまいます。
それだけ大切な電池ですが、電池もモーターと同様に慣らしや管理が必要です。
まず、電池の選び方ですが、これはネオチャンプ一択でしょう。ネオチャンプはタミヤ純正の充電式電池なので、アルカリ電池に比べて圧倒的にコスパが良いからです。
ただ、コスパ以外にも、ネオチャンプが優れている理由があります。それは、電池自体の性能の話になります。
電池は、使っていると電圧が下がってきます。アルカリ電池は使い始めのパワーは高いものの、長い時間走らせていると、だんだんと電圧も下がってきてしまいます。これを、電圧降下と言います。
ネオチャンプの場合、使用時間と電池降下の比率が、アルカリ電池に比べて低いのが特徴です。これは、走行距離が伸びれば伸びるほど、違いがあらわれます。
例えば、タミヤの5レーン公式大会では、コースの全長が200m以上あるレイアウトが一般的です。これだけの距離があると、スタート時点と比べて、レース終盤では電池の電圧が下がってきてしまいます。
そこで、ネオチャンプが有利になるのです。ネオチャンプでは、アルカリ電池よりも電圧降下が低いため、長時間安定した速度を保てるのです。これが、ネオチャンプを選ぶメリットです。
パワーのある電池を作るための慣らし方
充電式の電池には慣らしが必要です。電池を慣らすの?と思う方もいるでしょう。ここでは、電池を慣らす理由とその方法を、ネオチャンプを例に紹介します。
ネオチャンプは、買ったばかりのものより、ある程度使い込んだもののほうがパワーが出せます。これはモーターと同じです。
ただ、電池を慣らす理由は、電池から得られる電圧の変化にあります。
新品の電池は、電池自体の自己放電により、内部に膜ができていることがあります。それが抵抗となって、電流がながれにくくなるという現象(不活性化)が起こることがあります。
これは、長い期間使っていなかった電池でも、同様の現象が起こります。つまり、まずは電池の不活性化を解消することが必要なのです。
ネオチャンプの不活性化を解消するには、ネオチャンプ自体をリセットする必要があります。それには、リフレッシュという機能がついている専用の充電器を使います。おすすめは、PSPOWERのNT100という充電器です。
リフレッシュとは、電池を最後(終止電圧)まで放電してから、再度充電することを言います。これをすることで、電池をリセットできるのです。
さらに、充電式の電池にはメモリー効果といわれる現象もあります。
メモリー効果とは、継ぎ足し充電(途中まで使った電池をそのまま充電すること)をすると、放電中に一時的に電圧降下が発生してしまう現象です。
何度も充電を繰り返した電池では、このメモリー効果が出ていることがほとんどです。
先程紹介した充電器のリフレッシュ機能を使うことで、このメモリー効果をリセットできます。すると、電池本来の性能を引き出すことができますし、電池の寿命を延ばすことも出来ます。
充電式の電池でも、ただ使いっぱなしにするのではなく、リフレッシュなどのメンテナンスをしっかり行うことで、本来のパワーを引き出せるのです。
さらに、PSPOWERのNT100よりも多くの機能を搭載している最新の充放電器は「X4 Advanced 3」です。これこそ、ミニ四駆の電池を育成するための専用充放電器といっても過言ではありません。
これまでは、前機種である「X4 Advanced 2」がトップレーサーの中でも愛用されていました。その後継機である「X4 Advanced 3」が2018年10月に遂に登場しました。
詳しくは以下のリンクにて紹介しています。
ベアリングについての基礎知識
ミニ四駆において、ベアリングは様々なところで使われています。ドライブシャフトの軸受けやギヤの軸受け、さらには、ローラーにも使われています。
ベアリングは、シャーシ内部やローラーの中心に使われていることが多いため、外見からは良く見えません。しかし、実は速いマシン作りにおいて、とても重要なパーツです。
回りの悪いベアリングを使うと、それが抵抗になって速度が大きく低下します。軸受けのベアリングはもちろんですが、ローラーのベアリングも、良く回るか否かで速度に大きく影響します。
まずは、ローラーのベアリングを例に考えてみましょう。
主にコーナーでは、ローラーがコース壁面に沿って回転しながらマシンを支えています。マシンは真っ直ぐにしか走れないので、コーナーでは真っ直ぐ進もうとする力に対してローラーがガイドになることで、コースに沿って走ることができます。
そこで、回転の悪い回らないローラーを使うとどうなるでしょうか?
ローラーの回転がスムースでなければ、回転自体が抵抗になります。すると、ローラーのせいでコーナーでブレーキがかかっているのと同じ状態になります。
そのため、ローラーに回らないベアリングを使うと、コーナーでは大きく減速します。たかがベアリングといえども、ベアリング自体の回転抵抗があるかないかでは、コーナーのスピードは大きく変わります。
これは、ギヤやドライブシャフトなど、駆動系の軸受けに使うベアリングについても同じことが言えます。
ミニ四駆の最高速度は、モーターと電池で決まると言いました。この最高速度を実際に出せるか否かは、駆動にかかっています。
ミニ四駆におけるパワーの伝わり方をおさらいします。最初に、電池からの電流がモーターに伝わります。そこでモーターか回転し、その回転がギヤを回し、ギヤと一体になっているドライブシャフトを回転させてホイールが回ります。
駆動は、モーターの回転をホイールに伝えるために重要な役割を果たします。駆動に抵抗があると、モーターの回転をホイールに伝えるまでにパワーをロスしてしまいます。そのため、駆動に使うベアリングが重要になるのです。
これもローラー同様、良く回転するベアリングを使わなければ、回転に抵抗が生じてしまい、ロスに繋がります。
これまで、モーターと電池について話をしてきましたが、そのパワーを最大限に伝えるためにも、駆動に使うベアリングがとても重要な役割を果たしているのです。
長く良く回るベアリングの慣らし方
新品のベアリングには、腐食を防ぐためにベアリング内部にグリスが封入されています。
このグリスですが、ベアリングの腐食を防ぐには有効なのですが、回転の抵抗という観点からすると、悪い影響しかありません。なぜなら、グリス自体がベアリングの回転に対して大きな抵抗となるためです。
そこで、ベアリングには脱脂というメンテナンスをします。これは、皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか?
ベアリングの脱脂とは、ベアリング内部のグリスを洗い流すことです。回転の抵抗となるグリスを洗い流すことで、スムースな回転を実現します。そのため、ローラーや軸受けのベアリングは、全て脱脂して使いましょう。
脱脂の方法は、まずは小さな瓶などにベアリングが浸かるくらいのパーツクリーナーを吹き入れて、蓋をして1分程度振ってください。
小瓶は、タミヤのスペアボトルがサイズもちょうど良く、しっかり蓋をできるためおすすめです。
この中にパーツクリーナーを吹き入れたうえ、ベアリングを入れて振ることで、ベアリング内部のグリスが洗い流され、脱脂状態のベアリングが完成します。
なお、脱脂に使うオイルはパーツクリーナーでなくても、灯油やジッポオイルでも代用できます。ただ、それらのオイルには不純物が含まれているという話もあるため、できる限りパーツクリーナーを使うことをおすすめします。
脱脂の際の注意点としては、2点あります。
- 換気の良い場所で行う。
- パーツクリーナーを入れてから1分程度放置してから蓋を閉める。
パーツクリーナーなどのオイルは気化するため、小瓶に入れてすぐ蓋をすると、開けた時に小瓶内部の気圧が上昇し、吹き出る可能性があるため、パーツクリーナーを入れて少し放置しておくことで、吹き出る可能性を減らすことができます。
可燃性のガスなので、火気には十分注意して、自己責任で行ってください。
なお、ローラーに使われている520ベアリングを外すには、ベアリングチェンジャーと呼ばれる専用の器具を使うのがおすすめです。
これを使うことで、ローラーからベアリングを簡単に取り除くことができます。
ベアリングチェンジャーは自作することも可能ですが、自作のものだとベアリングを外す際にベアリング自体に余計な負荷がかかり、最悪ベアリングの形状を曲げてしまう恐れもあります。
ベアリングは精度が求められるもののため、できれば専用のベアリングチェンジャーを使うことをおすすめします。
なお、ベアリングの脱脂をすると、ベアリング内部を保護するグリスが抜けてしまうので、ベアリングの寿命が縮みます。
そこで、脱脂したベアリングを保護するために、ベアリング内部に極薄い皮膜を作ることをおすすめします。皮膜を作るにはレボリューションBBがおすすめです。
これを使ってメンテナンスしておくことにより、完全な脱脂の状態で極薄い皮膜をベアリング内部に形成でき、ベアリングを保護することができます。
さらに、この皮膜はほとんど回転の抵抗にもならないので、ベアリングの回転抵抗を増やすことにもなりません。
ベアリングは高価なパーツですので、しっかりメンテナンスして、寿命を伸ばしておきましょう。
ドライブシャフトについての基礎知識
モーター、電池、軸受けのベアリングまでメンテナンスが完了したら、次はドライブシャフトです。
ドライブシャフトはギヤと一体になっていて、ギヤの回転数をそのままホイールに伝える役目があります。
ドライブシャフトで一番大切なのは、極力真っ直ぐなシャフトを選ぶということです。
これには、2つの理由があります。
- ホイールのブレを抑える。
- 軸受けのベアリングとの干渉を最小限にする。
まずはホイールのブレを抑えることについてですが、曲がっているドライブシャフトを使ってしまうと、その先に付けるホイールがブレる原因となります。
ドライブシャフトが少し曲がっているだけでも、その端に取り付けるホイールは想像よりも大きなブレとなります。
さらに、曲がっているドライブシャフトを使うと、ベアリングとの干渉が増えてしまいます。
軸受けの620ベアリングはシャーシに固定されています。そのベアリングに対して、真っ直ぐではないドライブシャフトを使うとどうなるでしょうか?
ドライブシャフトが曲がっていると、軸受けのベアリングの中心を通りません。すると、ドライブシャフトが回転するたびに、軸受けのベアリングに接触してしまい、無駄な抵抗となりパワーのロスに繋がります。
これを防ぐためにも、真っ直ぐなドライブシャフトを使う必要があります。
真っ直ぐなドライブシャフトの選別方法
ドライブシャフトが真っ直ぐであるかを選別するには、シャフトチェッカーと呼ばれる専用の器具を使うのがおすすめです。
このチェッカーにシャフトを通してスムースに出てくれば、シャフトが曲がっていない証拠となります。
曲がっているシャフトの場合、チェッカーにシャフトが引っかかるので、すぐに分かります。
例え新品のドライブシャフトであっても、製品の個体差により曲がっている場合もありますので、しっかりとチェックすることが必要です。
なお、ドライブシャフトの中でも、特にブラック強化シャフトは良くチェックしてください。
ブラック強化シャフトは、シャフト自体に強度を持たせるために、あえて少しねじれているのです。そのため、ほかのドライブシャフトと比べても、シャフト自体の個体差はより大きなものになりますので注意してください。
可能であれば中空ドライブシャフトを使うことをおすすめしますが、中空ドライブシャフトにも、メリットとデメリットがあります。
中空ドライブシャフトのメリットは、ほかのドライブシャフトに比べて若干ですが太く作られていることです。
シャフトが太い分、ギヤに通したときの遊びが少ないため、ギヤからのパワーをより正確に受けることができます。
それなら中空ドライブシャフト一択のような気もしますが、中空ドライブシャフトのデメリットは、強度面にあります。
ブラック強化シャフトやノーマルシャフトに比べて軽いですが、その分、強度が落ちます。そのため、昨今の立体コースのように着地で強い衝撃を受けたり、コースアウトしたときにドライブシャフトが曲がってしまう可能性が高いのです。
ドライブシャフトが曲がっていないか細かくチェックすることと、使い捨てで良いという考えがあれば中空ドライブシャフトをおすすめしますが、やはりコスパを考えるとノーマルシャフトかブラック強化シャフトをおすすめします。
ホイールについての基礎知識
モーター、電池、ギヤ、ドライブシャフトときて、次はホイールについて紹介します。
ホイールは、モーターからの回転力を最後に受けるパーツです。ホイールにおいて重要な点は、ドライブシャフトでも話をしたとおり、回転した際のブレがあるかないかを調べることです。
ホイールがブレていると、コースを走ったときに一時的にタイヤが接地しないことがあります。タイヤが安定的にコースに接地しなければ、その分、路面にパワーを伝えることができません。
タイヤの形でも同じことが言えますが、タイヤを付ける前からブレていては話になりませんので、ホイールのブレを抑えることはとても重要です。
パワーロスのないホイールの作り方とセッティング方法
ホイールのブレを抑えるためには、ホイール貫通という方法が一般的です。ホイール貫通とは、その名のとおり、ドライブシャフトをホイールに貫通させることです。
買ったままのホイールにドライブシャフトを付ける場合、ドライブシャフトはホイールの真ん中辺りまでしか刺さりません。そのため、ホイールをしっかり固定できないのでブレの原因となります。
さらに、ホイールの中心までしかドライブシャフトが通っていないことで、ジャンプの着地でホイール全体で均等に力を受けられないため、安定性が欠けてしまいます。
そこで、ホイールにドライブシャフトを貫通させれば、ホイールの中心をドライブシャフトが通っているのでブレも抑えられるうえ、ジャンプの着地でもドライブシャフトとホイール全体で力を受けることができるので、安定性が向上します。
ホイールの貫通にも、専用の器具があります。
この器具はローハイト、大径、大径ローハイトの3種類のサイズに対応しています。これにホイールをはめて、長いドリルを使ってホイールの穴を貫通させます。
注意点としては、ドリルも推奨されているものを使うことです。ドリルはメーカーによりサイズが異なりますので、最悪の場合はドリルが通らないことも考えられますので、推奨されているサイズのドリルを使用してください。
ホイール貫通までできたら、最後にホイールの取り付けです。
ホイールの穴を見ていただければ分かりますが、ホイールの穴は6角になっています。ドライブシャフトも6角のため、ホイールの6角に合わせてドライブシャフトを挿入します。
マシンを組む際に、まずはモーターは外しておいてください。そして、ドライブシャフトをホイールに少し挿入しただけにします。そこで手でホイールを回転させ、回転にブレがないかを確認します。
ブレているようであれば、一度ドライブシャフトを抜き、6角のうち1角をずらしてまた挿入します。これを繰り返して、一番ブレの少ない場所を探します。ブレが一番少ないところで、ドライブシャフトをしっかり挿入します。
なお、ホイール貫通をさせた場合、通常のドライブシャフトでは長さが足りません。そのため、72mmのように長いドライブシャフトを使ってください。そうしなければ、ホイールにドライブシャフトが貫通しません。
タイヤについての基礎知識
駆動系の最後は、タイヤです。
タイヤはミニ四駆のパワーを路面に伝える最後のパーツですので、ここでパワーのロスをしてしまっては元も子もありません。
タイヤは、新品の状態では成型時のバリや、形のブレがあります。お手持ちのタイヤを良く見てみてください。タイヤの真ん中に段差があるものもあるかと思います。
タイヤ成型時にこの段差が出てしまうのは仕方ないことですが、速いマシンを作るうえでこれはパワーロスにつながります。
タイヤ全体がコースに均一に接地していないと、全てのパワーを路面に伝えることができません。そのため、タイヤを付けるときは、このバリや段差をなくすことが必要です。
パワーロスのないタイヤの作り方
タイヤを付ける前に、タイヤの表面を少し削って慣らす必要があります。
表面を慣らすには、ダイヤモンドヤスリがおすすめです。
使わないマシンにタイヤを装着して回転させながら、ダイヤモンドヤスリを表面に当てます。すると、少しずつタイヤが削れていきます。
このとき、ヤスリを強く当ててしまうとタイヤの表面を一定に削ることができなくなり、形がいびつになりブレの原因になるので注意してください。
タイヤを少し削るように、バリや段差がなくなるまでタイヤの表面を慣らします。これで、タイヤが路面に伝えるパワーのロスを防ぐことができます。
なお、ヤスリを当てて削るためタイヤの径が少し小さくなります。
マシンに取り付けるタイヤは、4輪全てが同じサイズでなければなりません。なぜなら、タイヤの径が違うと、4輪全てが接地しなくなり、3点接地になることがあるからです。
タイヤが路面に接地しないことにはパワーを路面に伝えることができないため、タイヤ径には特に注意が必要です。
そこで、デジタルノギスの出番です。
表面を慣らしたタイヤの径を測り、4輪全てを同じサイズのタイヤにすることで、3点接地を防ぎます。
なお、デジタルノギスはペラタイヤ作成時に必須の工具ですので、1つ持っていて損はありません。
まとめ
今回の記事は、公開すべきか正直悩みました。これらの情報は、速いマシンを作るうえで必須なことでもありつつ、各レーサーが秘密にしたいところでもあります。なぜなら、ライバルを増やすことに繋がるからです。
しかし、ミニ四駆の今後の発展を考えると、情報は共有したほうが良いと考えました。
どうしても、自分だけ勝てるマシンを作って、その方法は秘密にしたいという気持ちが芽生えますが、それではミニ四駆界が発展していくことには繋がりません。
多くのレーサーがどんどん速いマシンを作れるようになることで、皆が切磋琢磨して、さらに速いマシンを作るために試行錯誤していくものだと感じています。そのため、今回はこのような形で上級者向けのセッティングを全網羅して公開しました。
今は再ブームの影響もあり、ミニ四駆が全国どこでも手に入るような流通量になりましたが、コースの設置についてはまだまだです。
当然、公式大会の模擬コースがある店舗に行ける方のほうがより経験を積めるので、速いマシンを作れるようになります。ただ、そこで走らせれば勝てるような甘い世界ではありませんが、やはり現場の経験と情報量に差がついてしまいます。
そこで、当サイトの目的を今一度考えてみました。ミニ四駆改造アカデミーでは、「初心者から上級者まで、改造に役立つ情報を提供する」ということをコンセプトに運営しています。
これには、情報の共有が一番大切であると感じました。当サイトの目的達成のためにも、全国どこでもインターネットを通じてホットな改造情報を手に入れられる必要があります。
中には、「インターネットで安易に手に入れた情報でマシンを作ってみただけじゃ、実際に現場でレーサーとして経験を積んでいる人には絶対に勝てない。」とおっしゃる方もいるでしょう。
それは当然だと思います。レーサーとしてマシンを作ってはコースで走らせ、都度データを収集し、試行錯誤して改善していくことが一番大切なのは分かります。ただ、それを前提としても、情報を提供することはとても大切であると思います。
今回まとめたような情報が一部のレーサーしか手に入れられないような状況では、ミニ四駆界全体の発展には繋がらないと確信しています。
せっかく再ブームでミニ四駆に触れる機会が増えた人が、行き詰まってまた辞めていくことになってしまいます。
もちろん、行き詰まったら現場に足を運ぶことが一番良いですが、全員が全員、それができるとは限りません。行きたくても、行けない人もいるでしょう。
そんな方に、ミニ四駆の奥深さをもっと知ってもらうためには、改造にも色々な方法があることを知ってもらう必要があると考えました。
こうして、簡単に情報が手に入る時代だからこそ、しっかりした情報を提供することで、インターネットを上手に活用してミニ四駆の発展に繋げることができると考えています。
今回は、このような思いも持ちつつ、記事を書きました。是非、多くのレーサーにとってミニ四駆の奥深さをもっと知ってもらうきっかけになれば幸いです。
自分自身も、ミニ四駆に復帰した当時はネットで情報を集めていました。しかし、結局のところ、どれだけ情報を集めてマシンを作っても、実際に一回走らせたほうが得るものが大きいのは事実です。
だからこそ、ネットで調べた情報を元にマシンを組み立てたら、是非、近くのミニ四駆ステーションにも足を運んでみてください。そこでしか手に入らない経験も必ずあります。
そして、ミニ四駆ステーションを活用することが、今後のミニ四駆の継続した発展に繋がることは間違いありません。
大人になってから再発見した楽しみの一つですから、一人でも多くの方に長くミニ四駆を続けてもらいたいと願っています。
ミニ四駆を楽しむうえでこんな難しいことは考えなくても良いのではないかとも思いますが、せっかく見つけた楽しみを続けていくために、自分なりにできることに挑戦していきます。
長くなりましたが、ミニ四駆改造アカデミーでは、ミニ四駆の発展を目指して役に立つ情報を提供していきますので、今後とも、宜しくお願い致します。
これを読んで何か感じたことがあれば、是非コメントしてみてください。これからも、ミニ四駆を楽しんでいきましょう!