皆さんは、ATバンパーを使っていますか?
最近の大会上位入賞者の多くのマシンには、ATバンパーが採用されています。このブログを読んで頂いている方の中にも、実際にATバンパーを使っている方も数多くいらっしゃると思います。
ATバンパーは、着地時のコース復帰率の高さが注目されがちですが、ATバンパーを使うメリットはそれだけではありません。
そこで今回は、ATバンパーの効果について考察してみたいと思います。
目次
ATバンパーとは
ATバンパーとは、マシンがスロープなどでジャンプしてコース壁に乗り上げたとき、バンパーが上下に稼働することでコースへの復帰率を高めるシステムです。
作り方も様々ありますが、一番ベーシックな作り方はおじゃぷろさんのHPで紹介されているので、そちらをご覧ください。
ロッキングストレートが話題となった2018年のジャパンカップで、多くのマシンがこのATバンパーを採用していました。
その時点ではATバンパーの製作に使うフルカウルカーボンやFRPが売り切れ続出でしたが、今はフルカウルカーボンも再販され、FRPも入荷されつつあるので必要なパーツは手に入れやすくなっています。
ATバンパーのメリットはコース復帰率の高さだけではない!
ATバンパーでは、コースへの復帰率の高さが注目されがちですが、ATバンパーのメリットはそれだけではありません。
ATバンパーを使うことで、コーナーリング時にゼロスラストへ移行させることができ、結果としてコーナーリングのスピードアップを図ることができます。
そのためにはまず、ATバンパーの構造を理解しなければなりません。
ATバンパーは、バネの力だけでスラストを保持しています。そのため、下からの力に対してバンパー自体の上下動が可能になっており、コース壁に乗り上げたときに衝撃を受け流します。
ただ、ATバンパーの仕組みはそれだけでなく、バンパーを支えている支柱を支点に、バンパー自体がアッパー方向に可動します。
これは、コーナー進入時、ローラーがコース壁に対して力がかかったときに、バンパー自体がアッパー方向に可動させることで、スラストを限りなくゼロにできるのです。
バンパーカットをする前のシャーシを想像してみてください。ミニ四駆のバンパーにはスラストがついていますよね。
このスラストがあるおかげで、ローラーがコース壁面に当たったとき、コース壁に対して下方向の力がかかります。すると、マシンはコースに押し付けられる力が働き、結果としてコーナーでのコースアウトを防いでいます。
ゼロスラストのメリット
ゼロスラストに移行することで、コーナーでマシンを押さえつける力を減らし、且つローラーとコース壁面の抵抗を減らすことで、高速で駆け抜けることができます。
その際に注意しなければならないのが、スラスト抜けです。ATバンパーを作るときに、よくあるのがスラストが抜けてしまうことです。
支柱を支点にローラーに力がかかったとき、バンパーが必要以上にアッパーになり、それに合わせてアッパースラストになってしまうのです。
必要以上にアッパースラストになってしまうと、通常のコーナーでもマシンがコースアウトしてしまいます。そのため、ATバンパーを使うときは、スラストが0度以上に可動しないように制御する必要があります。
ローラーに力を加えたときに、バンパーがアッパーにならないよう、シャーシに支えをつけてみましょう。そうすることで、スラストを制御できます。
ゼロスラストのデメリット
このゼロスラストですが、もちろんデメリットもあります。それは、バンク通過時のマシン制御にあります。
ゼロスラストでは、コースにマシンを抑えつける力が無くなるため、バンクを登りきったあとの頂点から下りにかけてスラストが効かず、マシンがコースから浮いてしまいます。すると、マシンは惰性で走っている状態になるため、スピードが落ちてしまいます。
バンクが多いコースレイアウトでは、ゼロスラストが仇となることもあります。そこで、バンクが多いコースでゼロスラストのデメリットを克服する方法を、2つ紹介します。その2つとは、以下のとおりです。
- スラストをゼロにならないよう調整する。
- FM系のシャーシを使う。
まずは、スラスト角度の調整です。前述したように、ATバンパーのスラスト角度は制御することができます。
それを利用して、限りなくゼロに近いけどもゼロにはならないスラストを目指しましょう。スラストが抜けきったあとに1度くらいのスラストを残しても良いかもしれません。
そうすることで、スラストがゼロにはならず、マシンをコースに押さえつける力が残るため、バンクでの速度低下は多少は改善されます。
ただし、これは全体のコースレイアウトによります。コース全体をとおしてゼロスラストのほうが速いのか、多少のスラストを残したほうが速いのか、これは実績あるのみです。
あくまでも、セッティングの引き出しを増やすという意味で覚えておいてください。
2つ目は、FM系のシャーシを使うことです。フロントにモーターを搭載しているシャーシのほうが、バンクで速度が出ます。
これを利用して、ATバンパーをFM系のシャーシに搭載することで、ATバンパーのデメリットを克服する方法です。
まとめ
ATバンパーには、コースへの復帰率の高さやゼロスラスト移行など、多くのメリットがあります。リジットだけでなく、ピボットやスライドダンパーにすることで、さらに良いギミックにも仕上げられます。
まずは、速いマシンを見よう見まねでATバンパーを作ってみましょう。そして、ただ作るだけでなく、ATバンパーにどのような効果があり、それをどう使えば効果的なのかということまで考えれば、さらに速いマシンを作ることができるでしょう。
今回紹介した方法もあくまで一例です。是非、マシンセッティングの幅を広げる引き出しとして使ってみてください。
以上、ATバンパーの仕組みとゼロスラスト効果のメリットとデメリットについての紹介でした。