前回の記事で、スロープ直後のバンクで着地した際のミニ四駆の姿勢について考察しました。
ミニ四駆考察記〜9 「スロープ直後にあるバンクでのミニ四駆の姿勢について」
今回は、モーターの搭載位置の違いによる、タイヤへ伝達されるパワー(駆動力)の違いについて考察します。
ミニ四駆は、シャーシによりモーターの位置が変わります。
モーターの位置が違うことで、どれだけ走りに影響するのでしょうか。
目次
モーターの配置による駆動力の違い
ミニ四駆は4輪駆動ですが、モーターの配置箇所により、前後のタイヤへの力の伝わり方が違います。
ミニ四駆が走るには、モーターの回転力が色々なギヤを経由して、最終的にホイールシャフトを回すことで、そこに直結しているタイヤが回ります。
まずは、モーターのパワー=駆動力が、どのようにホイールシャフトへ伝わっていくか、確認します。
駆動力伝達のしくみ
↓
カウンターギヤ
↓
スパーギヤ
↓
プロペラシャフト
↓
クラウンギヤ
以上のギヤなどを経由し、ホイールシャフトを回転させています。
モーターからの力をホイールシャフトに伝達するまでに、ギヤを経由することで、モーターの力=駆動力が減衰していきます。
その際、経由するギヤの数が多いほど、モーターの力が減衰していきます。
これらを踏まえ、モーターの配置箇所の違いによる駆動力の違いについて考察します。
①リアモーター
リアモーターでは、前輪に比べて後輪のほうが、駆動力が高くなります。
モーターが回転して、後輪に駆動力が伝わるまでを見てみましょう。
【リアモーターから後輪への駆動力伝達の流れ】
モーター(=ピニオンギヤ)
↓
カウンターギヤ
↓
スパーギヤ(=後輪ホイールシャフト)
前輪はどうなるかというと、スパーギヤまでは同じですが、その先にプロペラシャフトとクラウンギヤが追加されます。
【リアモーターから前輪への駆動力伝達の流れ】
モーター(=ピニオンギヤ)
↓
カウンターギヤ
↓
スパーギヤ(=クラウンギア=後輪ホイールシャフト)
↓
プロペラシャフト
↓
クラウンギヤ(=前輪ホイールシャフト)
リアモーターからの駆動力は、前輪のほうが伝わるまでに多くのギヤを経由するため、減衰します。
そのため、後輪のほうが駆動力が高くなります。
②フロントモーター
フロントモーターでは、後輪に比べて前輪のほうが、駆動力が高くなります。
【フロントモーターから前輪への駆動力伝達の流れ】
モーター(=ピニオンギヤ)
↓
カウンターギヤ
↓
スパーギヤ(=前輪ホイールシャフト)後輪は、リアモーター同様、プロペラシャフトとクラウンギヤが追加されます。
【フロントモーターから後輪への駆動力伝達の流れ】
モーター(=ピニオンギヤ)
↓
カウンターギヤ
↓
スパーギヤ(=クラウンギア=前輪ホイールシャフト)
↓
プロペラシャフト
↓
クラウンギヤ(=後輪ホイールシャフト)
フロントモーターからの駆動力は、後輪のほうが伝わるまでに多くのギヤを経由するため、前輪のほうが駆動力が高くなります。
③ミッドシップモーター
最後に、ミッドシップモーターの駆動力について見てみます。
これまで同様、モーターが回転して、ホイールシャフトに駆動力が伝わるまでの流れを見てみましょう。
【ミッドシップモーターからの駆動力伝達のしくみ】
モーター(=ピニオンギヤ)
↓
カウンターギヤ
↓
スパーギヤ(=前輪ホイールシャフト=後輪ホイールシャフト)
ミッドシップモーターでは、以上のような駆動力伝達の流れとなります。
シャーシの特徴
①リアモーター
- 後輪の駆動力が高い
②フロントモーター
- 前輪の駆動力が高い
③ミッドシップモーター
- フロント、リア共に、ホイールシャフトまでのギヤの数が同じ。
- リアやフロントに搭載のモーターに比べて、ホイールシャフトまでのギヤの数が少ない。
以上が、モーターの搭載位置の違いによるシャーシの特徴です。
まとめ
よく、ミッドシップモーターは駆動効率が良いと言われていますが、それはモーターからホイールシャフトまでのギヤの数が少ないためです。
ギヤの数が少ない=駆動力が伝わるまでの抵抗などが減るため、結果として駆動の効率が向上します。
それが、ミッドシップモーターが駆動効率が良いと言われる所以です。
しかし、駆動効率が良いからと言って、一概にミッドシップモーターが優秀とは限りません。
どのタイヤの駆動力が高いかによって、ミニ四駆の走り方が変わります。
次回は、タイヤの駆動力の違いによる走り方の違いについて考察してみたいと思います。