今回は、ローラーのスラスト角度についてのお話です。
ミニ四駆のローラーを取り付けるバンパーは斜めになっており、角度がついています。
この角度のことを、「スラスト角度」と言います。
ミニ四駆を走らせると、コースの壁面にローラーがぶつかります。
その際に、このスラスト角度がついていることで、ミニ四駆には斜め下向きの力がかかります。
このスラスト角度を、「ダウンスラスト」と言います。
単純に、このダウンスラストがあるおかげで、コーナーでミニ四駆のコースアウトを防ぐ役割があると考えられます。
しかし、本当にそれだけでしょうか。
目次
ダウンスラストが効くポイント
ミニ四駆を走らせたとき、コースのどこのポイントでダウンスラストが効くのかを考えます。
ストレート
まずはストレートです。
ミニ四駆の最大幅は105mm、コースの幅は115mmのため、最大幅まで広げた場合は左右に10mmの余裕しかありません。
ミニ四駆は、真っ直ぐ走るものですが、ストレートでは一切コースにぶつからずに、真っ直ぐ走っていくわけではありません。
するとどうでしょう。
ストレートでもローラーがコースの壁にぶつかるので、そこでダウンスラストが効いています。
この場合、ダウンスラストが効いているというより、ダウンスラストの影響で、真っ直ぐ進む抵抗になっています。
ストレートでローラーがぶつかると、ローラーが斜めについていることで、それ自体が抵抗になります。
スラスト角度が0度で付いている場合を考えると分かりやすいですが、スラスト角度があることで抵抗になります。
ストレートでは、ダウンスラストは抵抗になるため、極力スラストがないほうが速く走れます。
コーナー
続いて、コーナーです。
コーナーでは、ミニ四駆に遠心力がかかり、外側に向けて傾きます。
その際に、ローラーが支えとなっています。
ローラーが支えとなったときには、ローラーの付いている位置と、前後のバランスによっても、ミニ四駆をどれだけ支えてくれるかが変わります。
これは、たからばこセッティングの話になるので、ここでは割愛します。
では、ローラーが支えとなったときに、ダウンスラストがどのように効いているのでしょうか。
コーナーでは、ミニ四駆の遠心力がかかり、コースの壁に沿ってローラーで支えることになるため、ローラーに大きな力がかかります。
そこで、ダウンスラストが効果を発揮します。
コーナーで飛ばされそうなときに、コースの壁に当たって支えているローラーが、ダウンスラストにより斜め下向きに進もうとすることで、ミニ四駆にはコースにへばりつくような斜め下向きの力が働きます。
これがコースアウトを防ぐ要因になります。
ダウンスラストとは逆に、ローラーがアッパースラストについている状態を考えると分かりやすいです。
アッパースラストの状態では、コーナーでミニ四駆に遠心力がかかるとともに、それをコースの壁に当たって支えているローラーが、斜め上方向に進もうとするため、コースアウトしてしまいます。
これらのことから、コーナーでは、ダウンスラストが効いている場合、コースアウトを防ぐ要因となります。
しかしながら、ダウンスラストが効きすぎていると、ストレート同様に抵抗になります。
実は、ローラーを付けている位置や高さ、前後のバランスにより、ダウンスラストがなくても、極力、コーナーでコースアウトしないように出来ます。
現に、ダウンスラスト0度でも、コーナーでコースアウトせずに走らせることは出来ます。
但し、それは、「ストレートとコーナー」だけを考えた場合です。
この後の、ダウンスラストが効く他のポイントを考慮すると、ダウンスラストは必須であると言えます。
レーンチェンジ
ミニ四駆をコースを走らせて、一番ダウンスラストが必要なポイントが、このレーンチェンジです。
レーンチェンジでのミニ四駆の挙動を、細かく分析してみます。
- レーンチェンジに向かってスロープを登る。
- レーンチェンジの頂点でスロープ同様、ミニ四駆が飛ぶ。
- ミニ四駆が飛びながら、レーンチェンジのためフロント右側のローラーがコース壁にぶつかり、ミニ四駆は左側を向く。
- ミニ四駆は飛びながら左側を向き、その後、飛びながら左側のコース壁にフロント左側のローラーがぶつかり、ミニ四駆は正面を向き、レーンチェンジを下り始める。
レーンチェンジでのミニ四駆の挙動は、大きく分けて以上の4つに分けられます。
この中で、ダウンスラストが大きく効果を発揮するポイントは、③です。
レーンチェンジでのミニ四駆は、飛びながらコース壁にぶつかりつつ進路を定めていきます。
その中の、始めにミニ四駆が飛びながらコース壁にぶつかる③で、如何に体勢を整えるか次第で、レーンチェンジが攻略出来るか否かが決まります。
飛びながらコース壁にぶつかるということは、ミニ四駆はローラーのみで体勢を整えることになります。
ここでダウンスラストが効いていれば、レーンチェンジで登りながら飛んでいくミニ四駆を、ダウンスラストの効果で一気に下方向へ向くようにしてくれます。
特に、フロントの右側のローラーで体勢を整えます。
これは、ストレート、コーナー、レーンチェンジのみのコースを走るカツフラマシンの改造からも分かります。
フラットコースでは、特に830ベアリングローラーなどが速くて有名ですが、カツフラマシンを見ると、ほとんどの人が、フロント右側のローラーのみ2段アルミローラーなどに変えています。
これは、まさにレーンチェンジ対策で、フロント右側のローラーのみコースへの食い付きが良くなるようにローラーを変えています。
それだけ、レーンチェンジでは、フロント右側のローラーが大切になります。
ここでは、ダウンスラストの話なので、ローラーのコース壁への食い付き易さの違いなどは割愛します。
スロープ、ジャンプ
これまでは、フラットコースを走る際のダウンスラストの効果の考察となりましたが、最後に立体コースを走る上で、ダウンスラストが一番必要となるポイントを考察します。
それは、スロープやジャンプでの効果です。
これは、③で考察したレーンチェンジでのミニ四駆の挙動と似ています。
スロープなどでミニ四駆がジャンプする際、コース壁に全く触れていないということはほとんどないと思います。
例えば、レーススタート直後のスロープでは、真っ直ぐスタートさせればコース壁に当たることはありません。
しかし、コースを走っている上では、必ずと言って良いほど、コース壁にぶつかっています。
すると、スロープへ進入してからジャンプするときの挙動は、レーンチェンジと同じ挙動となります。
そこで、スロープでミニ四駆がジャンプした際に、ローラーがコース壁に当たることで、ダウンスラストの効果を発揮します。
ミニ四駆がスロープでジャンプし、着地に至るまでに空中で体勢を整えられるとすれば、マスダン系を除き、ジャンプ中にコース壁にローラーが当たることだけです。
その際、ダウンスラストが効いていれば、ジャンプ中にコース壁に当たっているローラーが、斜め下向きに進むようガイドしてくれます。
ここで、コースに向けてマシンが入ります。
特に、フロントからコースに入ろうとするので、スロープでのジャンプも低く飛ぶことが可能となります。
まとめ
・ダウンスラストは、コーナー以外にも効いている。
・特に、レーンチェンジやスロープなどでジャンプする際に有効。
以上、ダウンスラストについての考察でした。
今回は、ダウンスラストをつける理由や、その効果について考察してみました。
ダウンスラストが、コーナー以外にスロープなどのジャンプ時の姿勢にも大きく影響するということは、盲点ではなかったでしょうか?
今回の考察で、ダウンスラストがスロープなどのジャンプで低く飛ぶための一つの手段となることが分かりました。
今のレースは、メインが立体コースなので、是非、今回の考察を参考にして頂ければと思います。