タイヤ

ミニ四駆のタイヤ駆動力の違いによる走り方の違い

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前回、モーター搭載位置の違いにおける、駆動力の違いについて考察しました。

モーター搭載位置の違いによる、駆動力の違いについて

今回は、ミニ四駆の駆動力の違いが、走り方にどのような影響を与えるのか、ということを考えてみます。

バンクやスロープでのジャンプは、フロントモーターのFMシャーシなどが得意というイメージがありますが、コーナーなどは何が速いのか、考察します。

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目次

前後タイヤへの駆動力分配について

まずは、前後のタイヤにどのくらいの駆動力が分配されているかを考えます。

ミニ四駆における駆動力とは、モーターのトルクをタイヤに伝え、タイヤが路面を蹴る力のことを言います。

正確な駆動力を求める式は、トルク、ギヤ比、伝達効率など、様々な数値が必要となります。

駆動力の算出は難しく、ここでは割愛させて頂きますが、駆動力を測る簡単な方法として、搭載されているギヤの数で駆動力を考えます。

仮に、駆動が四輪駆動ではなく二輪駆動の場合は、一方に駆動力が集中し、フロントとリヤの駆動力の比率は、100:0または0:100となります。

駆動力の比率は、モーターの配置やギヤ数の違いにより、変化していきます。

今回は、モーターの搭載位置により、前後タイヤのどちらに駆動力の割合が高いかを考えます。

そこから、ミニ四駆がコースで走る際に、どういった特徴があるかを考察します。

 

まずは、一番分かりやすいミッドシップモーターで考えてみましょう。

前回の記事で考察した駆動力伝達の流れを使用していきます。

MSシャーシ、MAシャーシなどのミッドシップモーターの場合

【ミッドシップモーターからの駆動力伝達のしくみ】

モーター(=ピニオンギヤ)

カウンターギヤ

スパーギヤ(=前輪ホイールシャフト=後輪ホイールシャフト)

モーターの駆動力をフロントタイヤ、リヤタイヤに伝えるまでに、前後同じギヤ数となっているため、前後の駆動力は、50:50となります。

ARシャーシ、VSシャーシなどのリヤモーターの場合

【リアモーターから後輪への駆動力伝達の流れ】

モーター(=ピニオンギヤ)

カウンターギヤ

スパーギヤ(=後輪ホイールシャフト)

【リアモーターから前輪への駆動力伝達の流れ】

モーター(=ピニオンギヤ)

カウンターギヤ

スパーギヤ(=クラウンギア=後輪ホイールシャフト)

プロペラシャフト

クラウンギヤ(=前輪ホイールシャフト)

 

リヤモーターからの駆動力は、前輪のほうが伝わるまでに多くのギヤを経由するため、減衰します。

その数値はミッドシップモーターの50:50から、二輪駆動の0:100の間で推移します。

以上のことから、前後の駆動力は、0<50:50<100となります。

これだけでは、正確な比率を算出することが出来ませんが、前後どちらのタイヤの比率が高いかを考えやすくするため、中央値を取り、25:75とします。

FM-Aシャーシ、SFMシャーシなどのフロントモーターの場合

【フロントモーターから前輪への駆動力伝達の流れ】

モーター(=ピニオンギヤ)

カウンターギヤ

スパーギヤ(=前輪ホイールシャフト)

【フロントモーターから後輪への駆動力伝達の流れ】

モーター(=ピニオンギヤ)

カウンターギヤ

スパーギヤ(=クラウンギア=前輪ホイールシャフト)

プロペラシャフト

クラウンギヤ(=後輪ホイールシャフト

 

フロントモーターからの駆動力は、後輪のほうが伝わるまでに多くのギヤを経由するため、減衰します。

その数値は50:50から、100:0の間で推移します。

以上のことから、前後の駆動力は、50<100:0<50となります。

リヤモーター同様、これだけでは、正確な比率を算出することが出来ませんが、前後どちらのタイヤの比率が高いかを考えやすくするため、中央値を取り、75:25とします。

モーター搭載位置と駆動力比率

それぞれのモーター搭載位置と駆動力の比率の関係は以下のようになります。

  • ミッドシップモーター 50:50
  • リヤモーター 25:75
  • フロントモーター 75:25

今回の考察からも分かるように、駆動力はモーター搭載側のタイヤが高くなります。

次は、これら駆動力の比率の違うミニ四駆をコースで走らせた際に、どのような特徴があるかを考えます。

駆動力の比率から見る、コースでの走り方の違い

リヤモーター

リヤモーターでは、リヤタイヤの駆動力が高いため、ミニ四駆を前に押し出す力が強くなります。

コースでの走り方に特に影響する場所は、スロープでのジャンプと、コーナーリングです。

【スロープでのジャンプ】

スロープでミニ四駆がジャンプする際、リヤの駆動力が高いと、スロープ頂点までミニ四駆を押し出そうとする力が働きます。

そのため、力強いジャンプが出来ることと併せ、ジャンプの飛距離を伸ばすことが出来ます。

【コーナーリング】

リヤの駆動力が高いミニ四駆は、速くコーナーを走れます。

前輪の駆動力が後輪に比べて高い、または同じ場合、その駆動力が真っ直ぐ進もうと抵抗になるため、リヤの駆動力が高いマシンのほうがコーナーで有利になります。

コーナーでは前輪が操舵輪となるため、前輪の駆動力が低いほど、コーナーで曲がりやすくなります。

結果として、コーナーでのスピードが上がります。

フロントモーター

フロントモーターでは、フロントタイヤの駆動力が高く、特にスロープでのジャンプやバンクなど、フロントの力が必要なコースで力を発揮します。

【スロープでのジャンプ】

スロープでミニ四駆がジャンプする際、まずはフロントタイヤが先に飛び出し、その後にリヤタイヤが飛び出します。

フロントモーターでは、駆動力の高いフロントタイヤが、先にスロープを飛び出しています。

すると、駆動力が低いリヤタイヤでスロープを登りきる必要があるため、スロープの頂点で僅かながら、ミニ四駆を押し出すパワーが低下します。

スロープ頂点でミニ四駆を押し出す力が少なくなるため、ジャンプの飛距離が落ちるとともに、ジャンプが低くなります。

【バンク】

バンクを登る際には、フロントタイヤの駆動力を路面にいかに伝えられるかということが大切になります。

フロントモーターでは、バンクを登る際に必要なフロントタイヤの駆動力が大きくなるため、リヤモーターに比べ、バンクでの速度低下が少なくなります。

ミッドシップモーター

ミッドシップモーターは、リヤモーターとフロントモーターの特性をバランス良く備えています。

特に、走行中にミニ四駆がバランスを崩したときの立て直しに効果があります。

【再加速】

ミニ四駆がジャンプの着地で弾んでしまうと、タイヤが4輪接地せず、再加速に時間がかかります。

これがリヤモーターやフロントモーターだと、駆動力が高い側のタイヤが先に接地しなければ、強い力で再加速出来ません。

ミッドシップモーターでは、4輪に駆動力が均等にあるため、ミニ四駆がジャンプの着地で弾んでしまい、4輪接地が出来なかったときでも、接地しているタイヤで上手く再加速出来ます。

まとめ

ミニ四駆では、タイヤの駆動力の違いにより、走り方に特徴が現れます。

  • リヤモーターは、強いジャンプ、コーナーリングが得意
  • フロントモーターは、低いジャンプ、バンクが得意
  • ミッドシップモーターは、バランスが良く、再加速が得意

タイヤにかかる駆動力が違うだけで、これだけの差が出てきます。

 

例えば、コーナーリングではタイヤのグリップ力を調整する方法もありますが、それ以前に、使っているシャーシによっても影響を受けることを知っていれば、セッティングの幅が広がります。

ミニ四駆の改造は、パーツ選びに重点を置いてしまいがちですが、今回のような知識を持っていると、パーツを取り付ける前の段階から、試行錯誤するための引き出しが増えます。

パーツだけに限らず、色々なことについて知識を蓄えておけば、それだけコースレイアウトに対する対応力も向上します。

色々な面から、ミニ四駆を分析していけることも、ミニ四駆の楽しみ方の一つではないかと思います。

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