公式大会で勝利を収めているマシンの多くが、ローハイトホイールにペラタイヤを履いています。
ただ、その中でもタイヤ径を24mm以下まで削っているような、小径のタイヤを履いたマシンが目立ちます。
なぜ、これほどまでに小さいタイヤが主流なのか。
本記事では、タイヤ径が小さいマシンのメリットとデメリットを解説します。
これを読めば、公式大会で小径のタイヤが多く使われている理由が分かります。
では、まいります!
目次
タイヤ径を小さくするメリット
タイヤ径を小さくするメリットは、ずばり以下の2つ。
- 安定性の向上
- 加速性能の向上
それぞれ、詳しく解説します。
【メリット①】安定性の向上
タイヤ径を小さくする1つ目のメリットは、安定性の向上です。
タイヤの径が小さいと、その分重心が低くなります。
そして、重心が低ければ低いほど、マシンの安定性が向上します。
つまり、タイヤ径が小さいほど、安定性が向上するのです。
特に、立体コースではスロープやドラゴンバックでマシンがジャンプした際、着地を如何に綺麗に決めるかが勝敗を分けると言っても過言ではありません。
マシンは走行している以上、真っ直ぐ飛んだように見えても、着地では左右どちらかに傾いているでしょう。
そのときに、マシンの重心がどこにあるかによって、その後の姿勢に影響します。
マシンの重心が高いと、大きく傾いて着地した場合に、そのまま傾きを戻すことができなかったり、再度逆側に大きく振られてしまうことがあります。
メトロノームをイメージすると分かりやすいかもしれません。
重りを上の方につけたメトロノームの針を倒して手を離すと、反対側にも大きく振られます。
しかし、重りを下の方につけたメトロノームは、先ほどと同じだけ針を倒して手を離したとき、振られる量は小さく済みます。
重心の位置によって、傾きを戻す力がどれだけ働くのかという違いが生じます。
よって、重心が低いほど、着地でマシンが傾いているときに傾きを戻しやすくなるのです。
【メリット②】加速性能の向上
タイヤ径を小さくする2つ目のメリットは、加速性能の向上です。
小径タイヤと大径タイヤでは、小径タイヤのほうが加速が速くなります。
なぜなら、小径タイヤのほうがタイヤの中心から路面までの距離が短くなり、より大きな力を路面に伝えることができるからです。
それ故に、小径タイヤのほうが大径タイヤに比べて、加速力に優れているのです。
ミニ四駆のコースは、コーナーやバンクはもちろん、スロープやドラゴンバックでジャンプと着地を繰り返す場面が多いです。
これを言い換えれば、常にマシンが加速と減速を繰り返しながら走っているということ。
立体コースでは着地の安定性が勝負の分かれ目と言いました。
それはまさにこのことで、着地したマシンを如何に速く加速させるかが肝となります。
マシンがジャンプすれば、惰性で飛んでいるだけなのでどれだけ真っ直ぐ飛んだとしても、必ず速度は低下します。
だからこそ、着地で再加速を上手く決めることが大切であり、それを小径タイヤが得意としているのです。
タイヤ径を小さくするデメリット
続いて、タイヤ径を小さくすることのデメリットを紹介します。
それがこちら。
- 最高速度が伸びない
小径タイヤにありがちな答えですが、このデメリットが後々大切になってくるので、詳しく解説します。
【デメリット】最高速度が伸びない
タイヤ径を小さくしたときの最大のデメリットが、最高速度が伸びないということ。
小径であればあるほど、タイヤが1回転して進む距離が短くなります。
モーターの出力が最大に達したとき、同じ距離を進むためには小径タイヤのほうが大径タイヤよりも回転数が必要となり、結果として速度が伸びないのです。
そのため、ストレートが多いコースなど、モーターの回転数がピークに近い状態をキープできる場合は、タイヤ径が大きいほうに軍配が上がると言えるでしょう。
公式大会で小径タイヤが選ばれる理由
タイヤ径が小さいマシンのメリットとデメリットが、お分かり頂けたかと思います。
ここからは、なぜ公式大会で小径タイヤが選ばれるのかを考えていきたいと思います。
公式大会で小径タイヤが選ばれる理由は、2つ。
- 再加速性能に優れている
- モーターの性能を最大限引き出せる
それぞれ、詳しく解説します。
【理由①】再加速性能に優れている
近年の公式大会では、立体コースが主流です。
立体コースでは、着地を綺麗に決めれば、それだけマシンの再加速がスムーズになります。
そこで、小径タイヤの最大のメリットでもある安定性の向上により、再加速がスムーズにできることが、小径タイヤが選ばれる理由の一つです。
公式大会に必ずと言って良いほど登場する、スロープ、ドラゴンバック、さらにはバウンシングといったマシンがジャンプと着地を繰り返すセクション。
マシンは、レース中に何度も再加速をしなければならない場面が訪れます。
1レースを通して、1回や2回の着地ならば多少上手く着地できなくても大きな差は開きませんが、これが1週につき2回、3回と着地する場面がある。
すると、どうしても再加速を上手く決めなければ、すぐにライバルマシンに差をつけられてしまいます。
そこで、マシンの安定性が求められます。
マシンが安定すれば、それだけ着地から再加速までのロスが減り、結果として高速のままセクションを通過できます。
では、着地から再加速までの安定性を向上させるにはどうすれば良いか。
その答えが、小径タイヤなのです。
【理由②】モーターの出力を最大限引き出せる
2つ目の理由は、小径タイヤのほうがモーターの出力を最大限引き出せるということ。
まず考えなければならないことが、公式大会でコースを5週する中で、モーターの回転数が最大に達するポイントがどれだけあるのかということ。
例えば、35,000rpmのマッハダッシュモーターを積んでいたとしても、ストレートが少ないコースレイアウトのため最大で80%の回転数しか引き出せないのであれば、MAXでも28,000rpmにしかなりません。
その場合、30,000rpmのハイパーダッシュモーターを使えば、28,000rpmは最大回転数の93%に当たるので、モーターが持つ性能を最大限使えていることになります。
これは、タイヤ径ではなくモーター性能の話で、小径タイヤが選ばれる理由にならないと言われるかもしれませんが、そうではありません。
これが何を意味するかと言うと、小径タイヤにすることで、マッハダッシュのような高回転モーターの性能も最大限まで引き出せるようになるのです。
モーターの回転数が最大に達した場合、タイヤが1回転したときに進む距離が大径タイヤのほうが長い分、速度が速くなります。
しかし、モーターの回転数が最大に達するまでにかかる時間は、大径タイヤよりも小径タイヤのほうか速いのです。
さらに、小径タイヤの場合は、モーターの回転数が最大に達したときは大径タイヤよりも速度が低い。
つまり、小径タイヤを使うことでローギアード化することができるのです。
高回転モーターの回転数を、小径タイヤを使うことで速度からパワーに変換する。
これこそが、小径タイヤを使うことで高回転モーターの性能を最大限に引き出すことに繋がります。
近年の公式大会は立体コースがメインで、加速と減速を繰り返しており、単純にマシンの最高速度まで出せないことがほとんどです。
そこで、小径タイヤを使うことで、パワーを落とさずにマシンの最高速度をあえて引き下げることができる。
すると、タイヤ径が大きいときに回転数がピークに達しなかった高回転モーターでも、小径タイヤにすることで回転数を極力ピークまで引き出せるようになるのです。
これが、公式大会で小径タイヤが選ばれる2つ目の理由です。
まとめ
小径タイヤを使うことで立体コース攻略の鍵である安定性を向上させるとともに、スロープやドラゴンバックで幾度となく訪れる再加速時のロスを減らします。
さらに、タイヤ径を小さくしてローギアード化を図ることで高回転モーターの性能を最大限まで引き出せることができ、速度とパワーの両面においてパワフルな走りができるようになります。
これが、公式大会で小径タイヤが使われる理由です。